・・・「コイツは違う。」
納車当日。
息子たちが先にS660で走りに行き、楽しそうに帰ってきた。
そして、ようやく私の番が回ってきた。
目的地は近所のガソリンスタンド。
特別なドライブではない。
ワインディングでもなければ、高速道路でもない。
ただ、納車されたばかりのS660にガソリンを入れに行くだけ。
それが、私にとってS660との本当のファーストコンタクトになった。
「軽自動車だから」
正直に言うと、乗る前の私はS660を少し甘く見ていた。
もちろん、ミッドシップの2シーターで、Hondaが本気で作った軽スポーツだということは分かっていた。
それでも、頭のどこかには、
「とはいえ660ccの軽自動車だろう」
という感覚があった。
過去に代車でNAエンジン+4ATの軽自動車を運転したことがある。
そのクルマは、登り坂になるとアクセルを踏んでもなかなか加速せず、キックダウンしてようやく速度が乗ってくる、という印象だった。
だからS660も、多少スポーティではあっても、登りではそれなりだろうと思っていた。
ところが――。
登り坂でアクセルを踏んでみた
ガソリンスタンドへ向かう市街地。
途中に少し登り坂がある。
そこで、どのくらい走るのか確かめるつもりでアクセルを踏んでみた。
すると。
速度が落ちない。
それどころか、普通に加速していく。
「え?」
もう少し踏む。
さらに加速する。
思っていたよりずっと勢いがある。
そして私は――
怖くなってアクセルを戻した(笑)。
軽自動車の登り坂なら、アクセルを踏んでも「頑張ってるな」という感じになるものだと思っていた。
でもS660は違った。
少なくとも、私がこれまで持っていた「軽自動車の加速」というイメージとは明らかに違った。
嬉しい誤算
ガソリンを入れに行っただけなので、走った距離は大したことはない。
コーナリング性能を試したわけでもない。
限界までエンジンを回したわけでもない。
それでも、この短いドライブだけで十分だった。
コイツは違う。
そう思った。
もちろん、S660が絶対的に速いクルマという話ではない。
660ccという排気量の制約があり、軽自動車として作られている。
でも、その限られた条件の中で、想像していた以上によく走る。
むしろ、
「この小さなエンジン、何なんだ?」
という興味の方が強くなった。
この時点ではまだ、S07Aというエンジンについて深く調べていたわけではない。
ただ、S660には自分が思っていた以上の何かがある。
そんな感覚だけは、はっきり残った。
もっと走らせてみたい
最初は、息子たちの運転練習用として探し始めたS660だった。
でも納車当日、自分で初めて運転してみて、少し話が変わってきた。
もっと走らせてみたい。
もう少しアクセルを踏んでみたい。
ワインディングではどうなんだろう。
CVTはどんな動きをするんだろう。
そして、この660ccのエンジンにはどこまで可能性があるんだろう。
ガソリンスタンドへ向かうだけだった短いドライブが、S660を深く知りたいと思う最初のきっかけになった。
この時点では、ただただ嬉しい誤算だった。
コイツ、もっと速くできるんじゃないか?
そう思い始めるまでに、それほど時間はかからなかった。
そして納車から一週間後。
私は早くも、S660のパワーアップに手を出すことになる――。
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