#05|RaceChip ONEでS660はどう変わった?

S660ブーストアップ、その効果と限界

S660をもっと速くしたい。

そう考えた時、最初に思い浮かんだのがRaceChipだった。

理由は単純。

すでにRP3ステップワゴンで効果を体感していたから。

ステップワゴンではRaceChipがよく効いた

先に所有していたステップワゴンにもRaceChipを装着していた。

装着前の最大ブーストは約0.6。

RaceChip装着後は約1.0まで上昇した。

しかもピーク値のばらつきが少なく、かなり安定している。

「サブコンって、こんなに変わるんだ。」

その成功体験があった。

だからS660にも、同じような効果を期待していた。

ステップワゴンは電動ウェイストゲート。

一方、S660は機械式アクチュエーター。

後から考えると、この違いもRaceChipの効き方に関係していたのかもしれない。

ただし、これはあくまで私の実体験から生まれた仮説。

ECU制御やトルク制御など、車種そのものの違いもあると思う。


RaceChip ONEとブースト計は納車前に準備していた

2025年5月31日。

RaceChip ONEとオートゲージのブースト計をS660へ取り付けた。

実はどちらも納車前に購入済み。

納車を待てずに、すでにパーツを集め始めていた(笑)。

ステップワゴンではレーダー探知機のOBD表示でブーストを確認していた。

ところがRaceChipを装着すると、OBD上では実際よりかなり低い値が表示されるようになったので、後日ブースト計を導入した。

そこでS660では最初から、

RaceChipを付けるなら、実ブーストを確認できるメーターも必要。

そう考えていた。

まずはB1

RaceChip ONEの初期設定はB1。

走ってみると、

「おっ、少しパワーアップした?」

という第一印象だった。

加速もレスポンスも、ノーマル+α。

悪くない。

ただ、ステップワゴンで感じたような劇的な変化ではない。

ブースト計を見る。

最大約0.9。

RaceChipを付ける前と、ほとんど変わらない。

一方、OBDメーター側は0.3程度を表示している。

つまりRaceChipによってECUへ送られる値には変化がある。

でも、実際のブーストは上がっていない。

「効いている感じはある。でもブーストは上がらない。」

ここが最初の疑問だった。

F1へ設定変更

旧型RaceChip ONEは設定変更の自由度が比較的大きかった。

そこでB1からF1へ変更。

するとパワー感とレスポンスは良くなった。

中間加速も明らかに気持ちいい。

ところが――

ブーストはやはり最大0.9程度。

設定を変えても、実ブーストは大きく変化しない。

ステップワゴンではRaceChip導入によって0.6から1.0まで上がった。

でもS660では、

0.9 → 0.9。

「なぜ?」

RaceChipだけでは、S660の機械式アクチュエーターを直接動かせない。

ならば、機械側を調整すればどうなる?

ここからアクチュエーターロッドへ興味を持ち始めた。

その前に、ブースト計が壊れた

ところが、しばらくするとブースト計が不調になった。

これでは何をしても正確に比較できない。

センサーケーブルなどの配線はそのままにして、6月22日にメーター本体のみ交換した。(初期不良で保証対象となった)

チューニングしていると、

「速くなった気がする」

は簡単に起きる。

だからこそ数値で確認したかった。

その数値を見るためのメーターが怪しいのでは、話にならない(笑)。

メーター交換後、改めてブーストアップを試していくことにした。


アクチュエーターロッドを2回転半短縮

まずロッドを2回転半短縮。

すると、

ピーク約1.1。

ようやくブーストが上がった。

RaceChipの設定変更ではほとんど変化しなかった実ブーストが、ロッド調整では明確に変化した。

「やっぱりここか。」

ところが、新しい問題が出た。

アクセルを全開にすると、

もたついて前に出ない。

当時は、

レギュラーガソリンだから?

燃料カット?

インジェクター?

燃料ポンプが追いついていない?

など色々考えた。

そこで一度RaceChipを外して確認。

すると最大ブーストは約0.92。

低回転から安定して加速し、全開時のもたつきも消えた。

RaceChipとロッド調整の組み合わせで、何らかの制御が入っているように感じた。

“もたつき”は何だったのか

現在振り返ると、このもたつきは単純な燃料供給不足ではなかったのではないか、と考えている。

RaceChipはブーストセンサー信号を補正し、ECUが認識する値を変化させる。

一方、実際にはロッド調整によって高いブーストがかかっている。

ECUは何らかの方法で高負荷状態を把握しながら、ブーストの認識値との間にズレが生じていたのではないか。

体感としては、

本格的なオーバーブースト保護に入る一歩手前。

そんな警告的な制御に感じられた。

ただし、この時点では原因を確定できていない。

あくまで実際の挙動から考えた仮説である。

ロッドをさらに短縮

その後、アクチュエーターロッドを最大で4回転半短縮。

ブーストは、

1.15〜1.2程度

まで上昇した。

目標としていたブースト1.2に到達。

これで一件落着――

とはならなかった。

走行条件によってブースト値が変わる。

1.1程度の時もあれば、

1.4。

そして7月25日には、

ピーク1.5。

ここまで上がった。

「ECUが学習した?」

「アクチュエーターの動きが馴染んだ?」

当時は色々考えた。

ただ、今振り返ると1.4〜1.5という値は、一時的なオーバーシュートだった可能性もある。

何より気になったのは、

高いことより、安定しないこと。

ステップワゴンではブーストが上がっても値はかなり安定していた。

S660では、ロッド調整で上げることはできる。

しかしピーク値が大きく変動する。

この違いが気になり始めた。


RaceChipの設定を変えて試す

RaceChip側の設定も何度も変更した。

D1。

F1。

C1。

41。

11。

それぞれでスタート時のもたつきや、中間加速、高回転側の制御感を確認した。

7月26日。

C1ではスタート時のもたつきはかなり小さくなった。

一度RaceChipを外してフルスロットル、ブースト0.9付近で制御が入り、その後0.5程度までしか上がらなくなった。
この時、アクチュエーターロッドは4回転半短縮のまま。

RaceChipを外しても制御が入る?

再度RaceChipを取り付けD1へ変更、再びピーク1.5。

スタート時のもたつきは極小。

8月16日。

F1へ変更し、約30分暖気してECUの学習を意識した。

中間トルク、ブーストの立ち上がりともに良好。

ブーストは約1.2。

スタート時全開では少しもたつくものの、気になる程度まで改善した。

8月20日。

F1から41へ。

中間域は問題なし。

しかし、スタート時アクセル全開では大きくもたつき、高回転側でも多少制御が入る感じがあった。

そこで11へ変更。

こちらはスタート時のもたつきが小さく、8月16日のF1に近い感触だった。


「ブーストが高ければいい」ではなくなってきた

最初は単純だった。

「ブーストを上げれば速くなる。」

でも、実際にやってみるとそう簡単ではなかった。

ブースト1.5が出ても、毎回同じように出るわけではない。

設定によってはアクセル全開でもたつく。

高回転側で制御が入ることもある。

そして実ブーストとECUが認識している値にも差がある。

次第に、

最大ブーストの数字より、安定して制御できることの方が重要ではないか。

そう思うようになった。

ステップワゴンとS660。なぜこれほど違う?

同じRaceChipでも、ステップワゴンでは非常に扱いやすかった。

約0.6から1.0まで上昇。

しかも安定している。

一方S660は、RaceChip単体では実ブーストがほとんど変わらず、ロッド調整を加えることでようやく上昇した。

しかし今度はピーク値が安定しない。

ステップワゴンの電動ウェイストゲートは、ECUによって過給圧を積極的に制御している。

S660は機械式アクチュエーター。

もしかするとサブコンとの組み合わせでは、電動アクチュエーター車の方がECUとの協調制御を行いやすいのではないか。

これは今でも興味のあるテーマ。

ただし、アクチュエーター方式だけで全てを説明できるとは思っていない。

ECUの制御方法、トルク管理、車種ごとのセッティングなど、他にも多くの違いがあるはずだ。


そして別の方法を考え始める

RaceChipには確かに効果があった。

レスポンスも中間加速も良くなる。

S660が元気になる感覚もあった。

でも、

高いブーストを安定して制御したい。

そう考えるようになった。

サブコンでECUに見せる値を変えるのではなく、

ECUそのものを調整する方法が良いのではないか。

ここで次の候補として浮かんできたのが、

HKS Flash EditorHondata FlashPro。

後にR’s 660 PROJECTのパワーアップ方針を大きく変えることになる。


その前にCVTを直さなければならなかった

8月末からRaceChipはいったん取り外した。

理由はCVTトラブル。
ディーラーで原因を切り分けるため、できるだけノーマルに近い状態へ戻し、CVTの原因追及を優先することにした。

なお、CVTの違和感自体はRaceChip装着前からすでに発生していた。
そのため、RaceChipが今回のCVTトラブルの発端だったとは考えていない。

RaceChipの検証は、ここでいったん休止した。

でもこの試行錯誤によって、

「もっとブーストを上げたい」から
「もっと正確に制御したい」へ。

私の考え方は少しずつ変わっていった。

そしてその答えを求めて、次のステップへ進む。


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